今回は自転車は殆ど関係在りませんが。
以下、感想。
多分今時の技術ならば、もう少し自然な質感にも作れたと思うのですが、背景や他のアンドロイドはリアルだったのに、ガリィ(本作に於いては、アリータ)だけに、やや態とらしい程のCGっぽさが在ったのは、彼女だけ特別なアンドロイド感と云うか、敢えての創り物感と云うか、理想的、科学的なイヴを演出したかったのかな?と思いました。
後半装備したナノテクボディとダマスカスブレードは無双過ぎて一寸だけデウスエクスマキナ感が否めませんでしたが、西洋哲学をやっていた僕にとっては『攻殻機動隊』や『イノセンス』にも繋がる実存とアイデンティティに関連するテーマを思い出し、楽しめました。
『諸君は、生きている女よりもそれをモデルにした人造人間の方を選ぶなんて不可能だ、と主張されるのですね! 生命のない物体が相手では、おのれ自身も、おのれの信念も、おのれの人間的愛情も、何一つ犠牲に出来るものではないと仰るのですね? 霊魂と、電池から出て来る蒸気とを、混同するようなことは断じてあるまいと仰るのですね?
(中略)
我々の神々も我々の希望も、もはや科学的にしか考えられなくなってしまった以上、どうして我々の恋愛もまた同じく科学的に考えてはならぬでしょうか、と。――忘れ去られた伝説のイヴ、「科学」から軽蔑された伝説のイブの代りに、私は諸君に科学的なイヴを提供するのであります』
『未来のイヴ』(ヴィリエ・ド・リラダン 著 創元ライブラリ)より
トランソニックやビアニローネも、そして幾つかのガーミン達も、僕にとっての科学的なイヴであり、ハダリなのです。